『新世界』西野亮廣 感想文
こんばんは。今日はキングコング西野亮廣氏の『新世界』の感想文を書きたいと思います。
昨晩、ある本を読み終わると、kindleがお勧め本を提示してきます。
それがこの『新世界』
価格:1,500円 |
昨晩から読み始め、今日の午前中には読み終わってしまいました。
本人が文章を書くのが得意と言うように、彼の文は親近感が湧き、とても読みやすいのです。
『革命のファンファーレ』を読んで、最近テレビで見ないと思ったらこんなことやってたのかと衝撃を受けてから、気が付けばなんとなく彼の情報を追うようになっていました。
そして待望の新刊。
率直な感想は、やはりこの人凄い。
何が凄いかって、発想が柔軟、かつユーザー目線なところだと思います。そして注目すべきはアイデアを行動に移すスピード。
アーティスト的な発想にビジネスの要素を取り入れる。ここが他の人たちと差別化できる点かなと勝手に思っています。
言い換えるならば、独自のエンタメ感、モノの見方と論理的な思考。
現在のお金(価値)のシステム、回り方を熟知しているからこそ、これら全てを可能にするというのも興味深いところです。
さて、西野氏の運営するオンラインサロンを軸に具体的な内容に入っていきたいと思います。
彼のオンラインサロンは日本最大、メンバーは1万2000人。
本人がオンラインサロンは「町」だと言うように、ここにはエンジニア部、デザイン部、不動産部とあらゆる職業が存在し、アイデアの共有から仕事の依頼まで全て完結してしまうのです。
しかも西野氏の考えに賛同しているメンバーのみなので、同じイメージを共有しやすく、質の高いものができ上がる。
人数が多いことは作業やレスポンスの速さも意味します。
一人で完成させたものよりも、メンバーが携わった自覚を持っているため宣伝効果が高いのも特徴です。
この町こそが西野氏の可能性を大きく広げていると言っても過言ではないでしょう。
このコミュニティを形成し、本文中の言葉を借りるなら、「自分が戦う武器」を揃えたのは紛れもなく彼自身なのですが。
えんとつ町のプペル美術館
この章では美術館を更地でオープンさせた話を扱っています。建設費用が高すぎたことを逆手にとって、完成までのプロセスを共有することに。
作品という概念を打ち壊し、それを時間軸で見てみることによって、マネタイズの糸口を掴むのです。
もう一つ違う章で紹介されていたニッチなサービスを試して、コケたとしてもそのデータを売って費用を賄うというのも同様。
クラウドファンディングを含め、お金の流れを掴めているからこそ次々と新しいことに着手できるのだと思いました。
吉本興業のクラウドファンディング
これは画期的だなと思いました。よくもまあこんなにアイデアが浮かぶものですね。
吉本興業公式のプラットフォームを作ることで、
・芸人は自分たちで仕事を取りに行ける→アルバイト先にお金を落とさなくなる
・仕事がもらえない不満が改善(仕事を取るのも自分の力)
・吉本興業は所属芸人仕事を取った分だけが手数料として収入が増える
まさにwin-winなのです。
このシステムをすぐに導入する西野氏のスピード感と優秀なサロンメンバーの仕事は圧巻です。
キミだけの地図
知らない場所でお店を探すのって意外と大変ですよね。
特定の目的が決まっていれば別ですが、何となく良い感じのところを探している場合には差別化が難しく、ネットの情報も必ずしも信頼できるわけではありません。
かと言って知人の情報には、限界があります。
この悩みを改善したのが、このキミだけの地図。
オンラインサロンメンバーが経営しているお店が一目でわかります。
この地図のメリットは、
・信頼できるメンバーが経営しているお店だからハズレない
・お店でより深い会話ができる
・メンバーの売り上げに貢献できる
これだけオンラインサロンの規模があるからこそ、この地図が機能するのです。
レターポット
プレゼントの難しさは誰もが感じることではないでしょうか。
被災地の例もそうですが、贈り手は完全に好意で行い、受け手もその気持ちは嬉しいのと不要であることを伝えるのは忍びないという気持ちがあります。
しかし、少なからず贈り手にはコストがかかり、それでいて受け手の負担となっては意味がないどころかマイナスです。
手紙に着目し、言葉に価値を与えるという発想は素敵だと思いました。
文章の量と値段が比例するというのも尺度としてはわかりやすいですね。
このレターポットの課題は浸透率でしょうか。
登録をしなければいけないという点で、少しハードルが上がります。
LINEのようにみんなが当たり前のように利用するようになれば、プレゼントとして、オンラインのギフト券に取って代わるかもしれません。
オンラインサロンは、新しいコミュニティの形ですが、今後ますます増えていくでしょう。
自分で好きなサロンに所属でき、ネット上なので距離の問題がないという点では、非常に合理的で効率が良いと言えます。
良い意味でネットとの境目がより曖昧になるかもしれません。
さらに西野氏のオンラインサロンは大きなポテンシャルを持っています。これだけメンバーが充実感を感じ、良い関係を築いているなら、会員数は伸びる一方。独自のトークンを発行することだってできるでしょう。言わば小国になり得るわけです。もうすでに独自の経済圏を持っているようなものですが。
具体的なことはわかりませんが、一つ言えることは、これから数年でコミュニティのあり方が変わっていくのは間違いないということです。
本のタイトルは西野氏の原点である大阪の「新世界」ですが、ぼくは今彼らを筆頭に創り出されている「新世界」が楽しみです。