【フルHD】ブンデス史上最年少ゴール!ドルトムント神童ムココとは
2020年12月18日ブンデスリーガの歴史が変わりました。
What a talent!
— Bundesliga English (@Bundesliga_EN) 2020年12月18日
What a finish!
What a moment!
The first of many for Youssoufa Moukoko ⚽#FCUBVB pic.twitter.com/jfzxBWHUPR
こんにちは、Shootです。
今回は選手の紹介を通してドイツサッカーを考えます。
焦点を当てるのは、ドイツ国内だけでなく世界中で話題沸騰中のユスファ・ムココ。
15歳でトップチームに昇格すると、11月21日のヘルタ・ベルリン戦にわずか16歳1日の若さで途中出場、ドルトムントOBヌリ・シャヒンが保持していたブンデスリーガ最年少出場記録を更新しました。
さらにその勢い止まらずCL第6節ゼニト戦でデビューを果たし、CLの歴史に名を刻んでいます。
そして、12月18日ブンデスリーガ史上最年少ゴールを更新しました。
基本情報
名前:ユスファ・ムココ (Youssoufa Moukoko)
出身:カメルーン首都ヤウンデ
生年月日:2004年11月20日
国籍:ドイツ/カメルーン
身長:179センチ
ポジション:CF
利き足:左
所属クラブ:ボルシア・ドルトムント
背番号:18
スポンサー:ナイキ
参照:Youssoufa Moukoko - Player profile 20/21 | Transfermarkt
経歴
ムココの最初のキャリアはドイツの北部で始まります。
港町ハンブルクに25年以上住んでいるという父の影響で、2014年10月ムココは生まれ育ったカメルーンを離れドイツへ移住。当時はまだ9歳でした。
2014年から16年にドルトムント下部組織へ移籍するまで彼はザンクトパウリU13でプレーします。
そのポテンシャルは当時から目を見張るものがあり、更なるトップクラブに引き抜かれるのは時間の問題だったと監督は振り返ります。また、入団トライアルの際にムココがスパイクではなく普通の運動靴でプレーしたという興味深いエピソードもあるのだとか。
Youssoufa Moukoko: Hamburg ist die Heimat des BVB-Wunderkinds | MOPO.de
BVB-Supertalent Youssoufa Moukoko: Beim FC St. Pauli wurde er fast weggeschickt | MOPO.de
ドルトムントへ移籍後はU17でプレーし、同カテゴリー通算56試合で90得点をマーク。
2019/20シーズンは15歳にしてU19を主戦場に20試合34得点と新記録を樹立します。
さらに同年、UEFA Youth Leagueでもデビューを果たし、大会最年少記録を更新。その約1ヶ月後には大会最年少ゴールなど常に飛び級で結果を残してきました。
そして、16歳を迎えた今季は念願のブンデスリーガ、CLデビューを飾り、新たなキャリアをスタートしました。
また、 2017年にドイツ代表U16に選出され、4試合3ゴール。現在はU20ドイツ代表に名を連ねます。
年齢制限問題
今回ムココを取り上げるきっかけとなったのが、ブンデスリーガで適応される年齢制限の変更です。
2020年春、DFL(ドイツサッカーリーグ機構)の総会でこの年齢制限の引き下げが正式に決定しました。
ドイツブンデスリーガにはLOS(Lizenzordnung Spieler)と呼ばれる規約が存在します。
簡単に説明すると、これは選手がブンデスリーガでプレーする条件を定めたもの。
この規約の第14章には育成年代選手のライセンスについて記されているのですが、従来は17歳になる年代の後半月生まれ、つまり最年少で16歳と6ヶ月以降の選手にプレー許可が下りることになっていました。
しかし、ドルトムントはこのルールの変更を申請。
バイエルンもそれを支援する形で、同様にDFLやLeistungszentren(育成機関)も賛同を示し、16歳を迎えた選手のプレー許可が総会でスムーズに採決されたという経緯です。
ちなみに、他のヨーロッパトップリーグでは16歳の選手がプレーすることが許可されており、「他国との競争力」は度々議論となるポイントでした。
プレー動画
以下はムココのプレー動画です。高画質で発信元が担保されているものをいくつかピックアップしました。
最初の動画はSport1から公開されているU17国内杯セミファイナル。13歳とは思えぬ堂々としたプレーをご覧下さい。
Wunderkind Moukoko: Seine große Show im U17-Halbfinale | SPORT1
続いて、U19ユースリーグでのスーパーゴール。
Moukoko & Reyna shoot BVB U19 into next round! | BVB U19 - Slavia U19 | Youth League | Highlights
以降はDFB公式チャンネルが公開しているU19の試合動画ですが、Youtube上でしか再生できない設定なのでリンクを貼ります。
1つ目は圧巻の1試合6ゴール。
6 Tore: Krasse Moukoko-Show | Alle Tore der A-Junioren-Bundesliga | 1. Spieltag - YouTube
2つ目はレヴィアダービーでのハットトリック。
ちなみにドイツ版のDAZNではムココとレイナを特集したドキュメンタリーを配信しています。Youtubeでもショート版が見られるので貼っておきます。
Youssoufa Moukoko vor Debüt - "Kann mithalten!" | Bundesliga | Matchday Feature | DAZN
年齢詐称疑惑
飛び級でプレーしていたにも関わらず凄まじい成績を残していたため、一時期年齢詐称疑惑が浮上しました。
しかし、これに関してクラブ側が公的な証明書があることを主張。加えて、役所がそれを証明したという報道があり、彼の生年月日は確かであるとされています。
まとめ
今回ドイツの若きタレントを紹介しました。
その情報を集め、まとめる過程で思ったことが3つあります。
1つ目はドイツサッカーへの期待です。
今回取り上げたムココのポテンシャルは疑いの余地がなく、将来非常に楽しな選手です。
また、彼の所属するドルトムントの例を挙げれば、彼以外にもレイナやべリングハム、ヘイニエルなど10代のタレントがコンスタントに出場機会を得ており、ハーランド、サンチョも驚くことに2000年生まれです。ドイツ代表選手ではないのが惜しいですが。
今後ますます若くポテンシャルのある選手がチャンスを得られる環境になれば面白いなと個人的には思っています。
そして欧州カップ戦に目を向ければ、昨シーズンCL王者にバイエルンが輝き、ベスト4にRBライプツィヒが残りました。
今季はなんと全4チームがCLグループステージを突破し、EL出場の2チームも順調に駒を進めています。決勝ラウンドもドイツ勢の活躍に要注目です。
2つ目はルール変更への姿勢について。
今回扱った年齢制限はドイツブンデスリーガ独自のルールでした。前述したように他のヨーロッパリーグではこの制限がなく、これまでに17歳に満たない原石のデビューが散見されてきました。
この変更のきっかけとなったムココの実力は再度強調するまでもありません。
ここで注目したいのは、ドイツサッカーが必要に駆られ、ルールの改訂に動いたという事実です。これはあくまでも推測ですが、ドイツ独自の50+1ルール改訂、廃止という可能性も今後ブンデスクラブの状況変化やその際の主張次第ではあり得ると思いました。
3つ目はこのルール変更には不安要素もあるということ。
以下の動画でも取り上げられていますが、若く才能のある選手があまりにも早くから世間に注目されることはリスクが伴い、これまでも常に懸念されてきた問題です。これは世界中どこの国でも同じでしょう。
今回の件も例外ではなく、この変更を巡って確かに疑問の声があったことは忘れてはいけません。
2017年わずか12歳でU16ドイツ代表に選出されたムココですが、実際はそのメディアの注目度の高さからクラブとDFBで話し合い、彼の成長のためしばらく代表戦を見送るという決断をしていました。(U17 - BVB Nachwuchs)
選手は資産という考え方ですから経済合理性を追求すれば企業、クラブ、エージェントは才能ある選手に早い段階で接触するべきなのです。メディアが大々的に取り上げ、関心を集めるのもごく自然なことです。
このような流れは昨今のプロフェッショナル化、すなわちビジネス化したサッカーでますます顕著になるでしょう。
しかし、選手はいわゆる一般的な投資対象物とは性質が異なること、それ故常に合理的にマネジメントできるわけではありません。
高い報酬や大舞台での経験が、タイミング次第ではストレスやプレッシャー、時には慢心に繋がりパフォーマンスを落とすこともあり得るのです。
ここ数十年で世界のスポーツビジネスは大きく発展してきました。欧州サッカーの歴史を見ても、営利から非営利へ、より高い収益性を目指すという一方通行の流れでした。
この範囲に従事していたこともあり、自分自身もいかに収益性を高められるかばかり考えていましたが、以上で述べたようなリスクはスポーツビジネスに関わる上で留意すべき観点だと再認識しました。
つまり、この文脈において一定の規制は重要な役割を担っており、それらの緩和は自分が考えていたより慎重に検討されるべきテーマであったというのが今回の気づきです。
Moukoko und Co: Der Jugend-Trend und seine Schattenseiten | Sportschau
それではまた!