アディダスの国際化とグローバル戦略①
こんにちは、Shootです。
現在大学のプロジェクトでアディダスの国際化について調べているので、今回はそれを日本語でレポートしたいと思います。
長くなるので記事は前半と後半に分けて書きます。
Die Adidas AG
アディダスグループの正式名称ですが、''die''は定冠詞、''AG''はAktiengesellschaftと言って株式会社を意味します。
現在はアディダスとリーボック2つのブランドを中心にシューズ、ウェア、アクセサリー類、そして時計やコスメなどのライセンス商品を販売。
19年の売上高は前期比7.8%増の236億4000万ユーロで5年連続の記録更新でした。
ドイツ・バイエルン州のHerzogenaurachにヘッドクウォーターを構えます。
余談ですが、アディダス創業者アドルフ・ダスラーの兄ルドルフ・ダスラーが創業したプーマも同じ街を本拠地としています。この有名な兄弟争いは息子の世代まで続くのですが、特に興味深いエピソードが「ペレ協定」です。
当時のスーパースターであるペレを奪い合うことで価格の高騰は避けられないと判断し、両者は彼にだけは手を出さないという取り決めを行います。
しかし、結果的にプーマはこの約束を守りませんでした。そして、1970年メキシコW杯のある試合でキックオフ直前にペレが審判に声を掛け靴紐を結び直し、画面いっぱいにプーマのシューズが映し出されるという巧妙な宣伝方法を用いて売上を伸ばしたのです。
国際化の歴史
1924 「ダスラー兄弟商会」設立。兄ルドルフは営業マン、弟アドルフは技術者
1928 陸上選手Lina Radkeはアムステルダム五輪でアディダスシューズを履き金メダル
1936 ベルリンオリンピックで躍進
1949 49歳で弟アドルフは自身の愛称アディと名字ダスラーを併せた「アディダス社」を設立
1954 ドイツ代表がW杯決勝で負け無しハンガリーを破った『ベルンの奇跡』この優勝をもたらした超軽量で取り替え式という画期的なスパイクが話題に
1970 メキシコW杯で初の公式ボール「Telster」を提供。馴染みのあるサッカーボール柄はこの時白黒テレビに映りやすいようデザインされた
1972 ミュンヘン五輪に注目が集まり、そのタイミングで新たなロゴを発表。それが現在Originalsのロゴである三つ葉だ
1982 アドルフの息子ホルストが電通と共同で国際スポーツマーケティング会社ISLを設立し、FIFA、IOC、IAAFなどと関係を持つ
1990 ホルストの死後、アドルフの娘たちは株式を売却し、ダスラー家の時代が終焉
1993 新たなフランス人CEORobert Louis-Dreyfusが迷走していたアディダスの経営を立て直す
1995 フランクフルト証券取引所に上場
1997 スポーツブランドサロモンを傘下に入れ、Adidas-Salomon AGと名称変更。この時米テーラーメイドゴルフも加わる
2000s ライフスタイルセグメントにも進出。Yohji YamamotoやStella MacCartneyなどとコラボ
2006 サロモン売却の翌年、リーボックをグループに加える
国際的な企業戦略
アディダスは2020までの戦略的なビジネスプランとして''Creating the new''を掲げています。
これは特有のカルチャーと3つの戦略的柱から構成されていますが、国際化がテーマなのでCitiesに注目します。
都市化は以前と同様にメガトレンドです。現在、世界人口の大多数はGDP約80%が生み出される都市に住んでいます。そして、そこで消費者の知覚やパースペクティブ、購買決断などグローバルなトレンドが生み出されているのです。アディダスは影響力の強い都市の消費者獲得を目指し、以下の6つの大都市をフォーカス・シティと定めています;
ロンドン、ロサンゼルス、ニューヨーク、パリ、上海、東京
アディダスは消費者との交流を強めることで、居住地、職場、スポーツをする場所、買い物するお店などあらゆる接点を超えて並外れた体験を彼らに提供することを目指します。
North America
上記の図をご覧の通り、各地で2019年グループ売上は向上。地域別のセグメントに関しては特に北米に注力しています。
北米はスポーツ用品業界にとって最大の市場でシェアは約40%です。
しかし、それと同時にここでアディダスは他の地域と比べて小さいシェアであり、北米には地理的に最大の成長機会があるとレポートの中でも明言。
この地域におけるブランドの全体的なポジションを押し上げるために北米を戦略的な優先事項とし、アディダスは既にこの地域への投資を大幅に増やして消費者にとっての重要性と知名度を高めています。
それに関連して近年組織構造への投資を増やしています。
例えば、ポートランドの米国本社の拡大やマーケティングイニシアティブの強化、さらにはペンシルバニアの新たな物流センターの開業とともに販売インフラを発展させました。
ここでの目標は、アディダスブランドの売上を2020年までに50億ユーロに増やすこと。
グローバル関連で他に付け加えると、近年DTCを含めたeコマース分野に注力しており、売上30億ユーロ、成長率34%を記録。その筆頭が大中華圏です。
次にグローバルオペレーションを取り上げます。
この記事の続きは近日公開予定です。